1kWhの電気代は何円?
ほとんどの電気料金メニューは月間電力使用量に応じて従量単価が変動するため、1kWhいくらとは言い切れないのが実際です。
なお、「27円」という単価は今から8年以上も前の取り決めなので令和の時代には合いません。
なぜなら全国の電気料金単価は2014年から少なくとも1kWhあたり2.7円値上がりしているからです。(消費税も当時の8%から10%になっています)
そのため2022年における電気料金1kWhあたりの目安単価は『30円(税込)』とした方が、より実態に近いといえるでしょう。
※その理由はこのあと詳しく解説します
南部修一 |
※1974年生まれ 電力自由化、太陽光発電、再生可能エネルギー関連情報の広報を担当 |
1kWhあたりの電気代が30円になる根拠は?
区分 | 令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度 | 平成30年度 | 平成29年度 | 平成28年度 | 平成27年度 | 平成26年度 | 平成25年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1kWhあたりの 再エネ賦課金単価 |
3.45円 | 3.36円 | 2.98円 | 2.95円 | 2.9円 | 2.64円 | 2.25円 | 1.58円 | 0.75円 | 0.35円 |
再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は全国共通、どの地域のどの電力会社を利用しても同じ単価で課金されます。
環境省の試算によると、再エネ賦課金単価は2030年ごろまでは年度ごとに値上がりする可能性も想定されています。
1kWhの電気代の計算方法
一般家庭における電気代の内訳は以下の図のように表せます。
『1kWhあたりの電気代』は、上記の”ひと月の電気代”を”月間電力使用量(消費電力量)”で割ることで算出できます。
(ひと月の電気代と月間電力使用量については目次⑤で詳しく説明します)
実際の電気代は契約プランや地域で異なる
そのため契約している企業や料金プラン、住んでいる地域などによって1kWhあたりの電気代はまったく違ってくるのが実際です。
一般家庭における目安単価を各地域ごとに算出すると、もっと安い北陸電力エリアは約26円になることに対し、もっとも高い北海道電力エリアでは約35円になります。
つまり1kWhあたりの目安単価は地域によって最大9円もの差があるということです。(各エリアごとの目安単価は目次③で詳しく説明しています)
・・・ただ、
1kWhあたりの電気代は全国10電力エリアで異なるものの、その平均値は『29.8円』になります。
これは全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価「27円」に、8年前の再エネ賦課金との差額2.7円を足した『29.7円』とほぼ同額です。
このことからも全国的な1kWhあたり目安単価は30円とした方が実態に合っていることがお分かりいただけるでしょう。
参考資料:大手電力10社の電気料金単価表電力エリア別(地域別)1kWhあたり目安単価
- 北海道電力エリア 35.34円
- 東北電力エリア 30.01円
- 北陸電力エリア 26.2円
- 中部電力エリア 30.38円
- 関西電力エリア 28.07円
- 東京電力エリア 30.88円
- 中国電力エリア 29.19円
- 四国電力エリア 29.45円
- 九州電力エリア 27.67円
- 沖縄電力エリア 30.98円
⇒ 各エリアの毎月の燃料費調整単価の推移表はこちら
北海道電力(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-280kWhまで | 280kWh超 | ||
341円 | 23.97円 | 30.26円 | 33.98円 | 1kWhにつき 3.66円 |
東北電力(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
330円 | 18.58円 | 25.33円 | 29.28円 | 1kWhにつき 3.47円 |
北陸電力(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
242円 | 17.84円 | 21.73円 | 23.44円 | 1kWhにつき 1.77円 |
中部電力ミライズ(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
286円 | 21.04円 | 25.51円 | 28.46円 | 1kWhにつき 5.36円 |
関西電力(株)
最低料金 月15kWhまで |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
16-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
341.01円 | 20.31円 | 25.71円 | 28.7円 | 15kWhまで33.66円 以降は2.24円/kWh |
東京電力エナジーパートナー(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
286円 | 19.88円 | 26.48円 | 30.57円 | 1kWhにつき 5.13円 |
中国電力(株)
最低料金 月15kWhまで |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
16-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
336.87円 | 20.76円 | 27.44円 | 29.56円 | 15kWhまで47.84円 以降は3.19円/kWh |
四国電力(株)
最低料金 月11kWhまで |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
12-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
411.4円 | 20.37円 | 26.99円 | 30.5円 | 11kWhまで28円 以降は2.55円/kWh |
九州電力(株)
10Aあたりの 基本料金/月 |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
離島ユニバーサルを含む燃調費(3月) | ||
---|---|---|---|---|
0-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
297円 | 17.46円 | 23.06円 | 26.06円 | 1kWhにつき 1.94円 |
沖縄電力(株)
最低料金 月10kWhまで |
従量単価 (1kWhあたり単価) |
燃調費単価 (3月) |
||
---|---|---|---|---|
11-120kWhまで | 121-300kWhまで | 300kWh超 | ||
402.4円 | 22.95円 | 28.49円 | 30.47円 | 10kWhまで39.78円 以降は3.98円/kWh |
kWh(キロワットアワー)って何?
kWhとKWの違いとは?
1kWの家電品の電気代はいくら?
1kWは1,000Wに相当するため「1,000Wの家電品の電気代はいくら?」と言い換えることができます。
消費電力が1,000W前後となる家電品には、以下のようなものがあります。
- 掃除機
- 電子レンジ
- 電気ケトル
- ドライヤー
- エアコン
- トースター
- IHクッキングヒーター
電気代 = W数 × 使用時間 × 電力量単価
家電品の電気代計算シミュレーター
ただし、エアコンや食器洗浄機、全自動洗濯機など、電気の出力(消費電力=WまたはKW数)が一定ではない家電品についてはシミュレーターでの単純計算はできません。
運転状況によって出力がコロコロ変わるため、WやKWではなく「kWh(電力使用量)」から電気料金を算出することになります。
そのように出力が一定でない家電品については”ワットチェッカー”を利用すると、実際に消費した電力量(kWh数)もカンタンに測定できます。
平均的な電気代と電力使用量
一般家庭における電気代は春・夏・秋・冬の季節によって全く異なります。
とくに春秋と冬の電気代は2倍以上の差が生じることもあるため、平均を知るだけでは誤解の元になるかもしれません。
・一般家庭の電気使用量は冬季(12月~2月)がもっとも多い
(=電気代はもっとも高くなる)
・夏季(7月~9月)の電気使用量は冬季の次に多い
・春秋の電気使用量は夏冬と比べるとかなり少ない
(=電気代はもっとも安くなる)
また、ガス給湯器のある住宅と電気給湯器を設置している住宅とでは、実際の電気代は大きく異なります。
オール電化やセミ電化住宅の場合、年間を通じてもっとも電気を多く使用する電気機器はエアコンでも冷蔵庫でもなく「電気給湯器(電気温水器)」になるからです。
その他、年間を通じて暖かい地域と寒い地域とでも年間の平均電気使用量は異なりますので、そういったところを踏まえた上で平均電気代を知っておくと良いでしょう。
NPCプラン電気料金比較シミュレーター