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オール電化住宅の電気代はなぜ高い?
こうた
この前、「オール電化のマンションに引っ越ししたら電気代が高くなった」って、友達がぼやいてたんだけど、、、
オール電化の電気代ってそんなに高いのかな?
清水
冬になると気温が下がって、電気温水器や蓄熱暖房機などは、どうしても電気をたくさん使いますからね。
エコキュートは電気温水器と比べると電力消費量は少ないですけど。。
でも、オール電化住宅やセミ電化の家庭だと、やっぱり非電化の住宅よりは電気を多く使いますよ。
それにエアコンなんかも24時間付けっぱなしだと、オール電化住宅向けの電気料金プランは昼間の単価が高いですから。
そうすると電気代が高くなってしまうのも当然かもしれませんね。
それはわかるけどさぁ、、
オール電化にしたら家計が安くなるって思ってたのに、もしガスとか灯油の方が安かったら、やっぱ頭にくるじゃん?
たしかに、それはそうですね。
ちなみにオール電化や深夜電力に限らず電気料金は年々高くなっています。
そしてそれには主に2つの原因があるんですよ。
電気代が上昇する2つの原因
やっぱり電気代は上がってるんだ!
2つの原因って何??
再エネ賦課金 単価の推移表(2012年度~2022年度)
買取期間 | 再エネ賦課金単価 | 標準家庭(月間電気使用量370kWh)における負担額 |
---|---|---|
2012年5月~2013年4月 (平成24年度) |
0.22円/kWh | 【月額】81円 【年額】972円 |
2013年5月~2014年4月 (平成25年度) |
0.35円/kWh | 【月額】129円 【年額】1,548円 |
2014年5月~2015年4月 (平成26年度) |
0.75円/kWh | 【月額】277円 【年額】3,324円 |
2015年5月~2016年4月 (平成27年度) |
1.58円/kWh | 【月額】584円 【年額】7,008円 |
2016年5月~2017年4月 (平成28年度) |
2.25円/kWh | 【月額】832円 【年額】9,984円 |
2017年5月~2018年4月 (平成29年度) |
2.64円/kWh | 【月額】976円 【年額】11,712円 |
2018年5月~2019年4月 (平成30年度) |
2.9円/kWh | 【月額】1,073円 【年額】12,876円 |
2019年5月~2020年4月 (令和元年度) |
2.95円/kWh | 【月額】1,091円 【年額】13,092円 |
2020年5月~2021年4月 (令和2年度) |
2.98円/kWh | 【月額】1,102円 【年額】13,224円 |
2021年5月~2022年4月 (令和3年度) |
3.36円/kWh | 【月額】1,243円 【年額】14,916円 |
2022年5月~2023年4月 (令和4年度) |
3.45円/kWh | 【月額】1,276円 【年額】15,318円 |
うわっ!
この11年で15倍以上も値上がりしてるじゃん!!
けっこうエグいですよね。
そしてもう一つの原因が、石油や天然ガスなどの”火力発電のための燃料費の高騰”です。
天然ガス価格の推移表(2015年~2019年)
引用元:一般社団法人エネルギ―情報センター 資料より
上の表は日本における天然ガス価格の推移を示しています。
これも2016年から2018年の終わり頃まで、右肩上がりが続いていますね。
こないだの消費税アップにしろ、なんでもかんでも値上がりばっかりでホント嫌になっちゃうよ。。
2019年春以降の電気代は値下がりしたけど・・・
ただ、先の表をよく見てみると、じつは天然ガスの価格上昇は2018年の末頃がピークで、その後は値下がりしています。
(注)2019年~2020年初めの頃の話です
あっ!ほんとだ!
・・・ってことは、やっぱり電気よりガスの方が安いってこと??
それもそうですが、天然ガスは電気を作るための燃料でもありますからね。
世界的なコロナウイルスの流行で天然ガスの価格が下がったことにより、電気の”燃料費調整額”も2019年の春頃から値下がりしているんですよ。
(注)2019年~2020年初めの頃の話です
3大都市圏における燃料費調整額単価の推移(2019年~2020年)
東京電力エリアの燃料費調整額単価の推移表
期間 | 2020年 | 2019年 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 12月 | 11月 | 10月 | 9月 | 8月 | 7月 | 6月 | 5月 | 4月 | 3月 | 2月 | |
1kwhあたり | -2.06円 | -2円 | -1.88円 | -1.83円 | -1.64円 | -1.37円 | -1.16円 | -1.03円 | -0.78円 | -0.48円 | -0.27円 | -0.36円 |
関西電力エリアの燃料費調整額単価の推移表
期間 | 2020年 | 2019年 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 12月 | 11月 | 10月 | 9月 | 8月 | 7月 | 6月 | 5月 | 4月 | 3月 | 2月 | |
1kwhあたり | 0.03円 | 0.08円 | 0.13円 | 0.15円 | 0.28円 | 0.47円 | 0.65円 | 0.78円 | 0.89円 | 0.97円 | 1.02円 | 0.96円 |
中部電力エリアの燃料費調整額単価の推移表
期間 | 2020年 | 2019年 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 12月 | 11月 | 10月 | 9月 | 8月 | 7月 | 6月 | 5月 | 4月 | 3月 | 2月 | |
1kwhあたり | -3.31円 | -3.26円 | -3.19円 | -3.22円 | -3円 | -2.63円 | -2.31円 | -2.08円 | -1.88円 | -1.76円 | -1.69円 | -1.83円 |
関東や中京エリアだと電気代の単価は1年前と比べて1kWhあたり2円ほど安くなっています。
他のエリアでも全国的に1円~1.5円くらい安くなってますよ。
2019年の春以降の電気代は、じつは全国的に値下がりしてたんだね!
それは知らなかったよ。
(注)2021年の電気代(燃料費調整額単価)は2019-2020年とは逆に、春から冬にかけて全国的に値上がりしています(2021年10月追記)
参考情報:今月と来月および過去11ヶ月分の燃料費調整額単価の推移表
だけどやっぱり高い気がするのはどうして?
でもさ、正直言って、そんな実感は全然ないよね。
やっぱり、なんとなく電気代は高くなってる気もするんだけど。。。
こうた君の感覚もあながち間違ってはないですよ。
電気の燃料費調整単価は下がっていても2019年10月には消費税の増税もありましたし、、、
それにオール電化やセミ電化住宅では再エネ賦課金の負担が大きくなりがちなんです。
ん??
電化住宅だと再エネ賦課金の負担が大きくなるって、、、
一体どーゆーこと?
電化住宅は再エネ賦課金の負担も大きい
こうた君も知っての通り、電化住宅向けの電気料金プランは一般的な従量電灯と比べて夜間の単価が安く設定されています。
そのためオール電化やセミ電化住宅ではエコキュートや電気温水器の他にも、夜間に電気を消費できる電気機器をあれこれ設置する傾向があるんですね。
そうなると2~3人暮らしにもかかわらず、月の電力使用量が1,000kWhを超えるケースも出てくるんですよ。
2人暮らしで1,000kWh超えって、、、結構すごいよね。
そして再エネ賦課金の単価ですが、これは10年前には0.22円だったのが今では3.45円と15倍以上にまで値上がりしています。
なので夜の単価が安いからといって電気をたくさん使っていると、再エネ賦課金の負担額もどんどん大きくなってしまうんですよ。
たとえば電力使用量が月1,000kWhにもなると、10年前の再エネ賦課金は220円で済んだのに今だと月額で3,450円もの負担になってしまいます。
それで電気代がすごく値上がりしたように感じてしまうわけだ。
電化住宅でなければ、そこまで電気を使うことは少ないですからね。
世帯数2~3人の平均的な電力使用量は月260kWhほどなので、再エネ賦課金の負担額は月900円前後で済みます。
たしかにオール電化住宅の月3,450円と比べたら、びっくりするほど高くはないよね。
オール電化住宅はIHクッキングヒーターなど電気機器を多く使いますから、基本料金もどうしても高額になりがちです。
そういったところもオール電化の電気代を高く感じてしまう理由かもしれませんね。
オール電化や深夜電力はまだまだ高くなる!?
オール電化プランはお得だと思ってたんだけどね。
なんとかして安くならないかな??
2016年の家庭向け電力自由化以降、オール電化プランの内容もどんどん変わってはいますけど、、、
どう変わったの??
例えば2016年4月以前からオール電化プランや深夜電力を契約されている方は、今でも当時の安い単価が適用されています。
(当時の夜間単価は1kWhあたり8円~12円前後、但し地域によって異なります)
ですが、新築や引越しなどで2016年4月以降にオール電化プランを契約された方の夜間単価は1kWhあたり12円~17円前後と、従前のプランと比べて値上がりしているんですよ。
なんだよ、それ、、、
変わったって言っても、値上がりじゃん。。
でも、なんで値上がりしたの?
オール電化の夜間単価や深夜電力が値上がりする理由
原子力発電所が全国各地で稼働していた当時は、夜間の電気が余っていました。
原発はその性質上、一度稼働させたら昼と夜で発電量を調整することはできませんからね。
なるほど。
でもさ、今は原発はほとんど停止してるよね。
そう、東日本大震災の影響で今はほとんどの原発が運転停止または廃炉になっています。
今は代わりに火力発電所で電気を作っていますが、火力発電は発電量の調整ができるので、夜間だからといって別に電気が余るわけではありません。
また、今は太陽光発電や省エネ機器が発展していて、以前と比べると昼間の電気の需要は減少しています。
火力発電は夜間のコストが高くつくので、今後のオール電化向けプランは「夜間の単価を値上げして、昼間の単価を値下げする」といった見直しが予定されているんですよ。
ちなみに深夜運転機器や蓄熱式機器(エコキュートなど)の特別割引なんかも残念ながら廃止の方向に進んでいますね。
関西・中部・四国・北陸の4電力エリアでは、2022年4月および7月に深夜電力や旧オール電化プランの価格改定・割引撤廃などが実施されますが、値上げ後も最安単価であることには変わりないため、今のところは現状維持がベストです。
新電力プランへの変更で確実に電気代が安くなるのは「従量電灯A/B/C」などに限られますのでご注意下さい。
【注意勧告】電化上手や深夜電力の値上げ話にダマされないで!オール電化プランでも乗り換えできる新電力は?
なんだかオール電化住宅に明るい未来はないように思えてくるよ。。
だからといって、今さらオール電化をやめるわけにもいかないだろうしなぁ。。
そういえば、オール電化プランは”新電力”に乗り換えても安くならないんだっけ??
2016年3月以前からオール電化住宅向けの料金プランを利用している方は、残念ながらそれよりも安くなる新電力プランはほとんどありません。
今後は新オール電化プランも続々登場!
ただし2016年4月以降にオール電化住宅向けの料金プランを契約した方であれば、それよりもお得な新電力プランも2020年頃から登場しています。
新オール電化プランや深夜向けメニューのある電力会社は、別記事の方でまとめて紹介していますので参考にしてください↓
オール電化の電気代を安くする8つの知恵
オール電化プランの電気代をなるべく安くするためには、エアコンなどの昼間使用を減らすといった生活スタイルの見直しが重要です。
また、厚手のカーテンや間仕切りなどで住宅の断熱性を高めるといった、ちょっとした工夫も有効ですね。
オール電化住宅の節電・節約方法は他にも色々ありますよ。
オール電化&セミ電化住宅の節電方法
- 電気を使う時間帯を意識する
- 昼間のエアコンなどの使用を減らす(冬は灯油ストーブなどで代用)
- 厚手のカーテンや間仕切りなどで住宅の断熱性を高める
- エコキュートや電気温水器は季節ごとに温度設定を見直しする
- エコキュートの昼間の自動沸き増し機能は停止しておく
- ファン付きの蓄熱暖房機はなるべくファンを停止させておく
- 長期間の不在のときは、使用しない機器はブレーカーごと切っておく、または休止モードにする
- 太陽光発電や蓄電池システムの導入を検討する
太陽光発電や蓄電池システムの導入もおすすめ
まだ太陽光発電を設置していないご家庭は、この機会に導入を検討してみるのも良いですね。
オール電化住宅とも相性が良いですし、災害や停電などのいざという時も太陽光発電があると助かります。
でもさあ、太陽光発電とか蓄電池ってけっこう高い買い物じゃん。
FIT売電価格も年々下がっているっていうし、、
今さら設置するメリットはないんじゃないの??
今さら設置するメリットはないんじゃないの??
まあ、そういった声があるのも事実ですけどね。
でも、実際にはシステム導入コストは年々下がってますし、その反対に機能や効率はどんどん向上しています。
お住まいの地域や住宅の状況からベストな設備を判断して、実績のある信頼性の高い業者を選びさえすれば損することはないですよ。
むしろ有望な投資にもなりますから、システムの導入でどれくらいお得になるのか?
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断熱窓などの断熱リフォームも◎
お住いの断熱リフォーム(断熱リノベ)をすると、夏冬の光熱費20%~50%以上の削減も期待できます。
政府や各自治体も家庭の省エネ化を積極的に支援していますし、手厚いリフォーム補助金(令和4年度は一戸15万円~300万円の補助金)も用意されています。
専門家のアドバイスを仰ぐことで”よくある失敗”を避けることができますので、全国対応のリフォームプランニング比較サービスを上手に活用しましょう。