Sさん
「10月から電源調達調整費を電気料金に加算・減算させていただきます」といったメールが電力会社から届いたのですが・・・『電源調達調整費』って何ですか?
以前からある『燃料費調整額』とどう違うのでしょうか?
電源調達調整費(または市場調達調整額など)は、主として日本卸電力取引所(通称:JEPX)による調達コストを電気料金に反映させるための調整費用です。
JEPXに連動する調整料金ってのは春秋は安いんだけど、、
電気の需要が増える夏冬なんかは高騰することがよくあるから気をつけてね。
電気の需要が増える夏冬なんかは高騰することがよくあるから気をつけてね。
詳しくは目次②や③で説明しているよ。
この記事の監修担当
小売電気事業・都市ガス小売事業・太陽光発電事業・家庭向け蓄電池販促事業などの広報を担当 |
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「燃料費調整額」とは?
「燃料費調整額」とは、火力発電で使用する燃料(石炭、原油、液化天然ガス)の輸入価格の変動(為替レートなど)を月々の電気代に反映させるための調整料金です。
電気事業審議会料金制度部会中間報告を踏まえ、電気事業者の経営環境の安定のためとして1996年1月に全国の電力会社で”燃料費調整制度”が導入されました。
電力小売が全面自由化された2016年4月以降は、旧一般電気事業者の小売部門(みなし小売電気事業者))の特定小売供給約款における契約種別ごとの料金に適用されています。
かんたんに言うと、電力自由化前からある従量電灯A/B/Cや低圧電力など(規制料金メニュー)に適用が定められているのが「燃料費調整額」ってことだね。
自由化後に登場した電気料金メニューには「燃料費調整額」を適用する義務はありませんが、
でも、多くの新電力会社(7~8割ほど)は大手電力会社の燃料費調整制度に合わせた料金メニューを提供しています。
「電源調達調整費」とは?
※小売電気事業者によっては「市場調達調整費」や「燃料費等調整費」などと表現しているところもあります電源調達調整費の算定方法に決めごとは特になく各企業ごとに算定基準や計算式が異なるため、月々の調整額も各社でまったく異なります。
他社と比べて電気代が2倍以上になっちゃう新電力会社も中にはあるんだよね。
そんなところはゼッタイ選ばないようにね。
電源調達調整費と燃料費調整額との違いは?
”電気の仕入れコストの価格変動を販売価格に反映させるための調整料金”という意味合いでは、「電源調達調整費」と「燃料費調整額」に違いはありません。
しかしその導入に至る背景や算定式はまったく異なります。
2016年4月の電力自由化以降、JEPXに連動する”電源調達調整費”は外資系の新電力会社が主に採用していました。
その後は光通信グループ傘下の小売電気事業者やその取次店もこぞって取り入れるようになり、2022年の電力市場高騰にともない採用事業者の数は増加傾向にあります。
電源調達調整費の算出方法は各社バラバラ、総じてややこしい算定式を用いているため、過大請求かどうかの判断も素人には難しくなっています。
燃料費調整額と同じなのは”顧客が使用した電力使用量に応じて加算または減算される調整料金”という点のみで、両者は似て非なるものと言えるでしょう。
両者の算定式やその根拠などを説明しようとすると、かなり難解な話になるためここでは省きますが、
「燃料費調整額」は価格の上がり下がりが比較的ゆっくり&緩やかであることに対し、「電源調達調整費」は電気の需給バランスや季節によって大きく変動する、といった特徴があります。
独自の調整単価を採用している新電力会社
経済産業省に登録している700社以上の小売電気事業者の中で電源調達調整費を採用している事業者数は今のところ10%程度です。
※一般家庭向けの低圧電灯および低圧電力の場合
※一般家庭向けの低圧電灯および低圧電力の場合
以下に「電源調達調整費」や「市場調達調整費」などの独自の調整制度を採用している小売電気事業者をまとめて案内します。
電源調達調整費等を採用している小売電気事業者一覧(約50社)
※契約者数の多い企業を主に上位表示しています
※契約者数の多い企業を主に上位表示しています
- ハルエネ
- ソフトバンクでんき
※2023年6月より東北・東京・関西・九州の4電力エリアで独自の電力市場連動調整制度を採用 - ドコモでんき
※2023年10月より東北・東京の2電力エリアで独自の電源費用等調整単価を追加採用 - auエネルギー&ライフ(auでんき等)
※2023年6月より北海道、東京、中部、北陸の4電力エリアで独自の電源調達等調整額を追加導入 - 楽天でんき
- J:COM電力
※2023年4月より独自の市場連動調整制度を導入 - グランデータ
※ONEでんき・ライフでんき・エコ得でんき等の多数ブランド名あり - HTBエナジー
※旧HISでんき・ニチデンなど - エフエネ
※カルガモでんき・パンダでんき等 - 東急でんき
※2023年4月より従前の燃料費調整単価を市場連動の電源調整単価を含めた独自の”燃料費等調整単価”に変更 - シン・エナジー
※2023年4月より独自の電源調達調整額を採用 - Japan電力
- ニチガス(日本瓦斯)
- エバーグリーン・リテイリング
※2023年4月より独自の電源調達調整額を採用 - スマ電
※2023年4月より従前の燃料費調整単価を市場連動の電源調整単価を含めた独自の”燃料費等調整単価”に変更 - よかエネ
※2022年12月より独自の燃料費調整額を採用 - イデックスでんき
- イーネットワークシステムズ(小田急でんき等)
※2023年4月より独自の電源調達調整額を採用 - @niftyでんき
※2023年4月より独自の電源調達調整額を採用 - グリムスパワー
- 新日本エネルギー
- 地域創成ホールディングス(おトクでんき等)
- 兵庫電力(地域でんき)
- 香川電力
- アースインフィニティ
- ビジでん
- ジニーエナジー
- ミライフ
※2023年3月より独自の調達調整費費(7.15 円/kWh)を加算 - 香川電力
- ムダカラ(親指でんき)
※2023年5月より独自の電源調達調整額を採用 - くこくエネルギー(旧熊本電力)
- サステナブルエナジー
- エビス電力(株式会社シグナストラスト)
- ビジでん
- 千葉電力
- エクスゲート
※eneでんき・ドリームでんき・おてがるでんきなどの多数ブランド名あり - みんな電力
- その他(和歌山電力・新電力おおいた・アンビットエナジー・エコログ・フラットエナジー・プランビーエナジー・ネクシィーズ電力・アルファ電力・速トクでんき等)
ちなみに「燃料費調整額」と「電源調達調整費」の両方を加算している事業者もあれば、”燃料費等調整額”という名称で徴収している事業者もあります。
「燃料費等調整額」は一見すると燃料費調整額と同じように見えて、じつは”等”という字が入っているため金額が異なります。
(燃料費調整額よりも燃料費等調整額の方が高額になる場合がほとんどです)
なお、大手電力会社や大手ガス会社が販売している家庭向け電気料金メニューで、”電源調達調整費”や”燃料費等調整額”などの独自調整料金が導入されているケースはごくわずかです。(2023年6月現在)
(そのような不明瞭な料金プランが日本のスタンダードにならないことを祈るばかりです)
(電力市場を)よく知らない人にはお勧めできない
2016年の電力自由化当初はエレトスやファミリーエナジー、ズームエナジーなどの外資系の新電力会社が”電源調達調整費”を採用していました。
これまで長く新電力業界をリサーチし続けている筆者から言わせれば、そのような事業者と契約してもロクな結果になりません。
(※)たとえばエレトスやファミリーエナジーは何度も違法行為を重ねた挙句に倒産していますそして2018年には光通信グループのハルエネやエフエネが電源調達調整費を採用し、
直近では同グループ傘下にあるグランデータやHTBエナジーなども次々と導入を発表していますが・・・
それらの新電力会社も調べてみるとロクでもない話ばかり見つかります。
それらの新電力会社も調べてみるとロクでもない話ばかり見つかります。
試しに”エフエネ”や”ハルエネ”や”グランデータ”をTwitterとかで検索してみてね。
これだけ悪評ばかりの新電力会社は他にないと思うよ。
上記の企業と契約しても金額的なメリットはほとんどありません。(一時的なケースを除く)
悪質な事業者と関わると、契約手数料や見知らぬオプション料金などを請求されたり、知らぬ間に料金が値上がりしていたり、解約時には違約金を請求されたりもします。
解約手数料などをケチって他所よりも高い電気代を払い続けるのも馬鹿馬鹿しい話です。
それも一つの勉強代と考え、速やかに他の誠実な電力会社に変更するようお勧めします。
電力会社の切り替え(=スイッチング)は「供給地点特定番号」と利用している電力会社の「お客様番号」の2つの情報が手元にあれば、誰でもインターネットから5分~10分もかからずに無料で手続きできますよ。
安心して利用できる新電力プラン
電源調達調整費ではなく従前からの燃料費調整額を採用しており、今後も安心して利用できる小売電気事業者を紹介します。
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(※)資源エネルギー庁電力調査統計「電力需要実績」(2022年10月時点)における、みなし小売電気事業者以外の事業者(新電力)での低圧電力の需要実績値より関西・近畿エリアのおすすめ新電力
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なお、同じ住所地で別の電気ガス事業者に変更する場合、契約中の電力会社にわざわざ解約の連絡をする必要はありません。
今は経済産業省のスイッチング支援システムのおかげで、新しく切り替えたい電気ガス会社に申し込みをするだけでOK!
解約手続きなどの必要作業はすべて申し込み先の新たな電気ガス会社が代行する仕組みになっています。
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