東京電力管内は今後の電力不足がかなり深刻で、計画停電が実施される可能性もあるという話を聞きました。
そこで最近よく見かけるJackeryのポータブル電源と太陽光パネルのセット購入を検討しているのですが、これについてどう思われますか?
ANNニュース動画「折り畳み式太陽光パネル登場 家庭の非常電源に」
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非常用電源としてポータブル電源を検討する際には、どういった電気製品をどのくらいの時間稼働させたいのか? あらかじめ想定しておくことが重要です。
近年はアウトドア目的だけでなく、災害における停電時の非常用電源としてもポータブル電源が注目されています。
これはポータブル電源の「蓄電容量」や「定格出力」がどんどん大きくなっていることも一つの要因です。
ポータブル電源は原則として、その「定格出力」のW数よりも大きな消費電力(W数)の家電品を稼働させることはできません。
しかし先ほどの動画で紹介されている最新モデル「Jackery 2000 Pro」は定格出力が2,200Wにも上るため、消費電力1,100Wを超える電子レンジやルームエアコンでも利用できます。
ただ、注意したいのはこの製品の「蓄電容量」は2,160Wh(約2.1kWh)しかないという点です。
WhやkWhと言ってもピンとこないかもしれませんので日本円に換算すると、最上級モデルのJackery 2000 Proでも63円分の電気しか貯められません。
※1kWhあたりの全国平均電気代は31円です(2023年現在)。詳しくは以下の記事で解説しています。

1kWhの電気代は今いくら?全国の目安単価を詳しく解説します
🕒️2021年10月30日
現在の1kWh(キロワットアワー)あたりの電気代が31円となる根拠や、kWhとkWの違いなどについて詳しく解説しています。全国10電力エリアにおける電気料金の目安単価も案内していますので、各地域の1kWhあたりの電気代を比較する際の参考にしてください。
ルームエアコン1台を稼働させると、電池は3時間くらいで無くなりますね。
冷蔵庫でも大きいタイプなら4~5時間ほど稼働させられるかどうか?といったところです。
家電品の消費電力はこちらの記事を参考にどうぞ
もちろん消費電力の小さな家電品なら、それなりに長時間もちますので非常用電源として役に立たないわけではありません。
たとえばJackery 2000 Proは電気毛布1枚は約30時間、扇風機1台なら72時間(3日間)稼働させることもできます。
ですが1人暮らしならともかく、2~3人以上の家庭で非常用電源としてのパフォーマンスを期待しすぎるのは禁物です。
蓄電容量2.1kWh程度のポータブル電源1台で、一般家庭の日常生活をカバーするには役不足でしょう。
でもさ、この製品って太陽光パネルで充電もできるんじゃないの?
それはそうですけど・・・
ポータブル電源本体と太陽光パネル6枚のセット価格は76万8千円にもなりますから、かなり高価なお買い物ですよ。(ポータブル電源本体は28万5千円)
計画停電や災害時の非常用電源としてポータブル電源と太陽光パネルのセットに80万円もかけるくらいなら、10kWh以上の家庭用蓄電池を設置した方が目的に叶います。
10~15kWhの家庭用蓄電池は工事費等込みで150~200万円ほどの費用がかかりますが、政府や自治体の補助金制度を活用し、単価の安い時間帯に充電した電気を普段使いすれば、ある程度の経済的メリットも期待できます。(実質100万円を切ることも可)
また、家庭用蓄電池ではなく電気自動車とV2Hシステムを導入するのも良いでしょう。
戸建て住宅なら太陽光パネルの無料設置PPAサービスも検討できます。
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「太陽光発電+蓄電池」は必要でしょうか?
🕒️2021年5月17日
「PPA太陽光発電や蓄電池システムの設置について、メリット&デメリットやその必要性は実際のところどうなのでしょうか?」という質問に対する回答です。
回答が長くなりましたが、非常用電源を検討する際には、どういった電気製品をどのくらいの時間利用できるようにしたいのか?
あらかじめ想定した上でそれに見合った電源を選びましょう。
① 緊急時に冷蔵庫やエアコンなども長時間稼働させたいなら
10kwh以上の家庭用蓄電池
導入費用:約110万円~170万円以上(30万円前後の行政補助金を含む)
② 非常電源としてだけでなくアウトドアなどの趣味を兼ねるなら
ポータブル電源+太陽光パネル
購入費用:約30~80万円
③ 非常電源として最低限の備え(※)を求めるなら
(※)電気毛布または扇風機などを1日ほど稼働
1000W~1500Wのポータブル電源
購入費用:約11万円~20万円
(注)5~10万円以下の安価なポータブル電源は家電の非常用電源としての機能はほとんど期待できません。
あまり安価な製品の場合、携帯電話の充電や照明くらいにしか使えず、安物買いの銭失いになる可能性もあります。
④ 戸建て住宅でハイクオリティな暮らしを求めるなら
太陽光パネル+電気自動車+V2Hシステム
導入費用:約170万円~400万円以上(各種の補助金含む)
上記の導入費用はメーカーや工務店、お住いの地域によって異なります。
全国平均における2022年の目安価格として参考にしてください。
これまでの質問&回答の一覧はこちら

電気ガス なんでもQ&Aまとめ
🕒️2021年5月8日
電力自由化や電力システム革命、新電力会社の疑問・質問に対する、NPCプラン編集部の回答記事を案内しています
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