新電力特集記事

市場連動型プランってなに?メリット&デメリット

バインダーを持つ女性のイメージ画像
このページでは電気料金メニューの種類の一つである
市場連動型プラン”の特徴やメリット&デメリットについて解説しています。
(注)当サイトの情報は一般家庭および小規模事業所向けの低圧電灯低圧電力が対象です
(法人向けの高圧・特別高圧プランは対象外)
イメージ画像
この記事の監修担当
SFP

新エネルギーメディア事業部 編集班
小売電気事業・都市ガス小売事業・太陽光発電事業・家庭向け蓄電池販促事業などの広報を担当
NPCプランイメージイラスト
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市場連動型プランの「市場」って何?

まずはじめに市場連動型プランの「市場」とは何か?について説明すると、
これは発電事業者とか小売電気事業者といった電気事業者同士が、電力の売買取引をするための(おろし)電力市場を指しています。
その市場は一般社団法人の「日本卸電力取引所」が運営しており、電力小売りの自由化を推進するために2003年に設立された日本で唯一(ゆいいつ)の卸電力市場となっています。
日本所卸電力取引所(通称:JEPX)
英名:Japan Electric Power Exchange

日本卸電力取引所TOPページキャプチャー
そして小売電気事業者の販売する電気料金プランの中で、卸電力市場の仕入れ価格に連動しているものを総称して「市場連動型プラン」と呼びます。
家庭向けの電気料金プランは2022年中旬頃までは、燃料費調整制度にもとづく料金プランばかりでしたが・・・
今は多くの小売電気事業者が市場連動型プランの販売を手掛けるようになりつつあります。(2023年7月現在)

電気料金プランには3つのタイプがある

一般家庭や小規模事業所向けの電気料金プラン(低圧電灯低圧電力)は
  1. 燃料費調整制度にもとづき毎月の料金単価が変動するタイプ
  2. 単価変動がまったくない固定料金タイプ
  3. 卸電力市場の取引価格に連動して料金単価が変動するタイプ
上記3つのタイプに分けることができます。
ほとんどの電気料金プランは昔からある燃料費調整制度によって毎月の料金単価が変動し、今も全体の8割から9割近くが①のタイプになります。
市場連動型ではないオススメ新電力プラン
イメージ画像
そして②の単価変動のない固定料金タイプには、東京電力エナジーパートナーの”アクアエナジー100”や東北電力フロンティアの”シンプルでんき”などがあります。
よかエネグルーヴエナジーなどの新電力会社も固定料金プランを販売していますが、この固定料金タイプは全体の1%もなく、一般にはまだまだ珍しい電気料金プランと言えるでしょう。
では、③の市場連動型プランはどうか?というと、弊社では2023年の4月時点で60社以上の販売を確認しています。
市場連動型プラン販売事業者の一覧
市場連動型プランは現在、全体の(約700社中)10%前後にまで増加している状況にあるわけです。(2023年7月現在)

市場連動型プランには2つのタイプがある

”市場連動型プラン”とはあくまでも総称であって、これも大きく分けると2つのタイプがあります。
  1. 市場の取引価格に応じて販売単価がリアルタイムに変動するタイプ
  2. 市場価格の平均値などによって毎月の調整単価が変動するタイプ
①の販売単価がリアルタイムに変動するタイプは”ダイナミックプライシング”といい、電気料金の単価が30分ごとに刻々(こくこく)と変動するところが特徴です。
つまり①は電気を使用する時間帯によって常に販売単価が変わるプランになります。
ダイナミックプライシングプランの一覧
それに対して②の毎月の調整単価が変動するタイプの料金プランは、ある月の市場価格の平均値などによって月々の調整単価が変動します。
②は時間帯による単価変動ではないため、”間接型市場連動プラン”と呼ばれることもあります。
間接型 市場連動プランの一覧
燃料費調整制度にもとづく電気料金プランの方は、天然ガスや石炭などの発電燃料の輸入費によって毎月の調整単価が変動することに対し、
②の間接型市場連動プランの場合は燃料の輸入費用ではなく、卸電力市場の取引価格に応じて調整単価が変動するところに違いがあります。
ちなみに燃料費調整制度市場連動調整制度の両方を併用している会社もありますし、お客さんが市場連動型と固定料金型を月ごとに選べる電気料金プランアストでんき・フリープランなど)もありますが・・・
とりあえず市場連動型プランといえば、料金単価が30分ごとに変動するタイプ毎月の調整料金が変わってくるタイプの2種類ある、ということを覚えておきましょう。

市場連動型プランは安い?

市場連動型プランを販売している新電力会社のホームページでは、「安いときは0.01円」といった宣伝文句をよく見かけます。
Looopでんき・スマートタイムONEの紹介ページキャプチャー画像
上記画像はLooopでんきHPより引用
春秋の昼間の時間帯は太陽光発電が(さか)んになるため、市場取引価格は1kWh(キロワットアワー)あたり0.01円といった激安価格になることもよくありますが・・
ただしそれはお客さんへの販売価格ではなく、あくまでも事業者の仕入れ価格です。
どの会社も0.01円/kWhの安い電気を仕入れたからといって、客にそのままの価格で売っているわけではありません。
実際の販売価格には仕入れ原価以外にも、託送料金や様々な手数料等が加算されますし、
アストマックスエネルギー・フリープランの紹介ページより
上記画像はアストマックスエネルギーHPより引用
再生可能エネルギー発電促進賦課金も 当然加わってきますので、どんなに安くても1kWh(キロワットアワー)あたり12円~13円を切ることはないでしょう。
私たちが0.01円のタダ同然で電気を買えることは実際にはありません。
こうた
そんなに甘い話はないってことだね。
それでもダイナミックプライシングのプランなら、市場価格が安いときにはお客さんへの販売単価もそれに比例して安くはなります。
しかし②の間接型の市場連動型プランは市場価格が安いからといって、必ずしも販売価格も安くなるとは限りません。
電気代が安くなるかどうかは市場価格の動向よりも、どの小売電気事業者を利用しているか?それぞれの料金設定に大きく左右されます。
間接型の市場連動型プランを利用する際には、市場価格が安いときに販売価格も安くなる料金設定にしているかどうか?
事業者をきちんと見極める目を持つことが非常に重要といえるでしょう。

市場連動型プランは高い?

卸電力市場の取引価格は、真夏や真冬の季節になると比較的高くなる傾向にあります。
気温が極端に上がったり下がったりすると電気を使う人がそれだけ増えますので、その需給バランスに応じて電力市場の取引価格が高くなるわけです。
JEPX取引価格の季節ごとの値動きイメージ画像
なお、市場価格が高くなりやすい時間帯もありますが、それはいつも高くなるとは限りません。
それもやはり電気の需要と供給のバランスによって高くなったり安くなったりします。

卸電力市場の取引価格は電気の需給バランスで決まる

電気の需要と供給のバランスは、さまざまな要素が複雑に(から)み合っています。
たとえば雨や雪の日は太陽光発電が減るため、晴れの日と比べると昼間の市場価格はどうしても高くなりますし、
気温が急に寒くなったりすると全国あちこちでエアコン需要が急増して、(電力会社側がそれを予測していなければ)市場価格が高騰することもあります。
また、日曜日の昼間などはオフィスや工場の電力需要が平日と比べるとガクンと減りますので、市場価格は安くなる傾向にあります。
2023年7月2日(日曜)の6時~15時までの取引価格は0.01円/kWh
清水
ちなみにJEPXの毎日の取引価格はホームページ内でいつでも確認できますし、Twitterアカウントでの発信もされていますよ。

需給バランスは電気事業者の動向にも影響される

電気の需給バランスは私たち一般市民の電気の使用状況だけでなく、電気事業者の参入状況にも大きく左右されます。
こうた
どういうこと?
たとえば卸電力市場での取引をしていない小売電気事業者は今もたくさんありますので、もしそれらの新規取引が急増すると市場価格が値上がりすることも考えられます。
また、発電事業者のトラブルなどで予定していた電気供給ができない場合には、それが高騰の要因になることもあります。

市場連動型プランは良い?悪い?どっち?

市場連動型プランを1年以上長期利用することで金銭的なメリットが確実にある需要家は、夏や冬には電気をあまり使わず、春や秋になるとたくさん使うような家庭や事業所に限られるでしょう。
ただ、そういった需要家は珍しいかもしれません。
こうた
そうなの?
春や秋の季節は暑くも寒くもありませんので、一般的には大して電気を使う必要性もありません。
電気の購入単価がいくら安くても、使用量が少なければ金銭的なメリットはたかが知れています。
ですが夏や冬になると、暑さ寒さで春秋の2~3倍の電気を消費することもあります。
電気の購入単価が高くなって、その使用量も増えるということは、それはつまり金銭的なデメリットが大きくなるということです。
こうた
なるほどね、そういうことか。
そもそも電気代のことを毎日気にしながら生活のクオリティを下げるようなことは、あまり()められたことではありません。
Aさん
Aさん
この時間帯は電気代が高くなるから、あまり使わないように気をつけよう。
Bさん
Bさん
こんなに寒くなってくると電気代も高くなるからどうしよう、、節電しなきゃ。。
このような心配ばかりして毎日を過ごしていると、そのほうが勿体(もったい)ない人生になりかねません。
結局のところ年間の電気代(支払い総額)は、市場連動型プランであるかどうかよりも「どの小売電気事業者を利用しているか?」に大きく左右されます。
だからこそ、とにかく不誠実な電気事業者は避け、高くなるようなら速やかに他社プランに切り替えるといった身軽なフットワークを身につけるようにしましょう。

市場連動型プラン販売事業者の一覧

市場連動型プラン(市場調整制度)を採用している新電力会社を一覧にまとめてご紹介します。※掲載は50音順(あいうえお順)

ダイナミックプライシングプラン

電力量単価(従量料金)がJEPXスポット価格に比例して30分ごとに変動する料金プランを販売している新電力会社は以下の通りです。
  1. アストマックス・エネルギー
    (フリープラン)
  2. サニックスでんき
    (スポットバリュープラン)
  3. ダイレクトパワー
    (ダイレクトS/M)
  4. テラエナジー
    (市場連動プラン)
  5. ハチドリ電力
    (HACHIDORI PLAN)
  6. リミックスでんき
    (Styleプラス)
  7. Looopでんき
    (スマートタイムONE)

間接型 市場連動プラン

電源調達調整費や市場調達調整費などの名目で、JEPXスポット市場のシステムプライスやエリアプライスに連動した調整制度を採用している新電力会社は以下の通りです。
  1. アースインフィニティ
  2. イデックスでんき
  3. イーネットワークシステムズ
    ※小田急でんき・スマートハイムでんきfor賃貸などの多数ブランド名あり
  4. HTBエナジー
    ※旧HISでんき・ニチデンなど
  5. エクスゲート
    ※eneでんき・ドリームでんき・おてがるでんきなどの多数ブランド名あり
  6. エバーグリーン・リテイリング
  7. エフエネ
    ※カルガモでんき・パンダでんき等
  8. auエネルギー&ライフ(auでんき等)
    ※北海道、東京、中部、北陸の4電力エリアのみ
  9. 香川電力
  10. くこくエネルギー(旧熊本電力)
  11. グランデータ
    ※ONEでんき・ライフでんき・エコ得でんき等の多数ブランド名あり
  12. グリムスパワー
  13. サステナブルエナジー
  14. シン・エナジー
    ※沖縄電力エリアを除く(沖縄では燃料費調整制度を採用)
  15. 新日本エネルギー
  16. J:COM電力
  17. ジニーエナジー
  18. Japan電力
  19. スマ電
  20. ソフトバンクでんき
    ※東北・東京・関西・九州の4電力エリアのみ
  21. 地域創成ホールディングス
    ※おトクでんきなど
  22. 千葉電力
  23. 東急でんき
  24. ドコモでんき
    ※東北・東京の2電力エリアのみ
  25. ニチガス
  26. niftyでんき
  27. ハルエネでんき
  28. 兵庫電力(地域でんき)
  29. ビジでん
  30. みんな電力
  31. ムダカラ(親指でんき)
  32. よかエネ
  33. 楽天でんき
  34. その他(アスエネ・シナネンあかりの森でんき・和歌山電力・ワタミエナジー・新電力おおいた・アンビットエナジー・エコログ・フラットエナジー・プランビーエナジー・ネクシィーズ電力・アルファ電力・速トクでんき・めぐるでんき・パルシステムでんき等)

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