「新電力に切り替えたら電気料金が跳ね上がった」「契約した会社が突然倒産した」——そんな不安の声がインターネット上に広がっています。しかし、こうしたトラブルは一部の悪質業者や特殊な契約プランに起因するものがほとんどです。

本記事では、新電力が「やばい・危ない」と言われる具体的な理由を整理したうえで、信頼できる会社の選び方と、実績のあるおすすめ新電力5社をわかりやすく解説します。

新電力がやばい・危ないと言われる理由は?

新電力に対する不安の声は、大きく4つの要因から生まれています。それぞれの背景を正しく理解することで、根拠のない不安と本当に気をつけるべきリスクを区別できます。

電力調達コストが上昇し撤退や倒産した過去がある

新電力が「やばい」と言われる最大の背景のひとつが、電力調達コストの急騰による撤退・倒産の増加です。

多くの新電力は自社発電所を持たず、JEPX(日本卸電力取引所)を通じて電力を調達しています。2021年の大寒波や2022年のロシア・ウクライナ情勢による燃料価格高騰により、調達コストが急激に上昇しました。

この影響で、調達コストの増加を料金に転嫁できなかった事業者を中心に、多数の新電力が事業継続を断念しました。

時期 廃止・撤退・解散・取消数(累計)
2022年3月時点 約17社
2023年3月時点 約96社
2024年3月時点 約123社(2016年4月以降累計)

出典:資源エネルギー庁「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況」

ただし、倒産・撤退した場合でも電気が突然止まることはありません。電気供給を継続できなくなった場合は、その地域の大手電力会社(旧一般電気事業者)が電力供給を引き継ぐ仕組みが整っています。

【倒産・撤退しにくい新電力の特徴】

  • 大手エネルギー企業(ガス・石油会社など)の子会社である
  • 設立から数年以上の運営実績がある
  • 資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」で登録年月日が古い
  • 契約者数が多く、経営基盤が安定している

事業を維持するために値上げされている

「新電力に切り替えたのに電気代が上がった」という不満の声も少なくありません。これは新電力だけの問題ではなく、電力業界全体の構造的な問題です。

燃料費の高騰・容量拠出金制度の開始(2024年4月)・託送料金の改定(2024年4月)など、電力会社全体のコスト負担が増加しており、値上げは旧来の大手電力会社でも同様に行われています。

値上げの要因 発生時期 影響
燃料価格の世界的高騰(LNG・原油) 2021〜2022年 燃料費調整額の上限到達・電気料金の上昇
容量拠出金の請求開始 2024年4月〜 小売電気事業者への新たなコスト負担
託送料金の改定 2024年4月〜 一部電力会社が電気料金に転嫁

法外な電気料金がかかる場合がある

一部の新電力では、不当に高い電気料金を請求していたことが問題になった事例もあります。代表的なのは「グランデータ」というサービスで、業務改善勧告を受けた事例として知られています。また、「市場連動型プラン」を採用している場合、市場価格が急騰したタイミングで電気料金が数倍になるケースもありました。

ただしこのようなケースは全体の一部であり、大手グループ系の新電力や実績のある事業者ではほとんど見られません。

【法外な請求が起きやすいケース】

  • 市場連動型プランで、上限価格の設定がない
  • 独自の「燃料費調整額」算定方式を採用している
  • 料金体系が不透明で、公式サイトでの公開が不十分
  • 設立間もない小規模事業者

強引な勧誘を受けることがある

新電力が「やばい」と言われるもうひとつの理由が、一部業者による強引な訪問販売・電話勧誘です。国民生活センターには、以下のような苦情が多数寄せられています。

トラブルの種類 具体的な内容
虚偽の説明 「アパート全体の電気契約が変更になる」と嘘をつかれた
無断契約変更 検針票を見せたら勝手に契約を変えられた
料金の誤魔化し 「今より安くなる」と言われたのに高額請求された
偽装勧誘 「大手電力から委託を受けている」と偽って訪問してきた

出典:国民生活センター「契約変更しませんか?突然やってくる電気・ガスの勧誘に注意!」

突然の訪問勧誘では、その場での契約をせず、後日冷静に検討することが重要です。意図せず契約した場合は、書面によるクーリング・オフが可能です。

やばい・危ない新電力会社を選ばないために知っておくべきこと

新電力を安全に選ぶためには、事前にいくつかのポイントを確認することが重要です。以下の5つのチェックポイントを押さえておきましょう。

変動プラン

電気料金プランは大きく「従量電灯型」と「市場連動型」の2種類に分かれます。

プランの種類 特徴 向いている人
従量電灯型 使用量に応じた段階的な料金設定。比較的安定している 電気代を安定させたい一般家庭
市場連動型 JEPXの市場価格に連動して30分ごとに変動する 電気の使い方を工夫できる人・節電意識が高い人

一般家庭は従量電灯型が基本です。市場連動型は上手に活用すれば安くなりますが、市場価格が急騰すると電気代が想定外に高くなるリスクもあります。契約前に「市場連動型かどうか」「上限価格の設定があるか」を必ず確認しましょう。

供給エリア

すべての新電力が全国でサービスを提供しているわけではありません。一部の新電力は特定の電力エリアのみに対応しています。また、マンション・アパートで「高圧一括受電契約」が結ばれている場合は、個人での電力会社変更ができないことがあります。

公式サイトで「供給エリア」を確認し、自分の住所がカバーされているか事前にチェックしましょう。賃貸にお住まいの方は管理会社への確認も必要です。

運営会社

新電力を選ぶ際は、運営会社の信頼性・実績を確認することが最も重要なポイントです。

【信頼できる運営会社の見分け方】

  • 大手エネルギー企業(ガス・石油・電気)の子会社・グループ会社である
  • 設立から複数年の実績がある(資源エネルギー庁の登録一覧で確認可能)
  • 公式サイトに会社概要・所在地・資本金が明記されている
  • 利用者が多く、口コミ・レビューが豊富

資源エネルギー庁のサイトで公開されている「登録小売電気事業者一覧」から、気になる事業者の「登録年月日」を確認することで、運営歴の長さをチェックできます。

契約期間

多くの新電力は契約期間の縛りがなく、いつでも解約できます。ただし、一部のプランでは特定期間内の解約に違約金が設定されているケースがあります。

確認ポイント 内容
解約金の有無 数千円〜1万円程度の違約金が設定されていることがある
更新月の確認 更新月以外での解約に違約金が発生するケースがある
契約期間 一般的には縛りなし。割引プランは1〜2年縛りの場合がある

セット割・ポイント付与

新電力の多くは、電気以外のサービスとセットで契約することで割引やポイントが受けられる「セット割」を提供しています。ライフスタイルに合った特典を活用すれば、電気料金の節約以上のメリットが得られます。

セット割の種類 内容例
ガスとのセット割 電気+ガスで月額料金が割引
スマホとのセット割 特定キャリアのスマホと組み合わせで月額割引
ポイント付与 楽天ポイント・Pontaポイント・dポイントなどが貯まる
ガソリン割引 系列ガソリンスタンドでの給油が割引

やばい・危ない評判がない新電力会社おすすめ5選

以下の5社は、大手グループ会社が運営しており、倒産リスクが低く、安定したサービスを提供している信頼性の高い新電力です。

楽天でんき

楽天でんきは、楽天エナジー株式会社(楽天グループ)が運営する新電力サービスです。楽天ポイントを貯める・使えるのが最大の特徴で、楽天サービスをよく利用する方に特におすすめです。

注意点として、基本料金は0円ですが従量料金が平均40円/kWh程度とやや高めのため、楽天サービスを多用しない方にはコスト面でメリットが薄い場合があります。

auでんき

auでんきは、KDDI系列のauエネルギー&ライフ株式会社が運営するサービスです。au・UQ mobileユーザーはスマホセット割が利用でき、利用料金に応じてPontaポイントも貯まります。

オール電化プランや時間帯別プランの設定がないため、電気の使い方でプランを細かく使い分けたい方には不向きな面もあります。

Looopでんき

Looopでんきは、株式会社Looopが運営するサービスです。市場連動型の「スマートタイムONE」プランが主力で、電気の使い方を時間帯で工夫できる方にお得なプランです。契約期間の縛りなし・解約手数料0円のため、柔軟に利用できます。

「おまかせ割」という自動還元サービスがあり、月の最も電気を使った時間帯の単価割引が自動的に適用されます。節電アプリでの電気使用量の可視化も魅力です。

CDエナジーダイレクト

CDエナジーダイレクトは、中部電力ミライズと大阪ガスが50%ずつ出資して設立された事業者です。大手2社が共同で運営しているため経営基盤が非常に安定しており、「やばい」という心配がほとんどないサービスです。

世帯人数に合わせて「シングルでんき」「ベーシックでんき」「ファミリーでんき」とプランが選べ、電気使用量に応じたポイント還元も充実しています。

ENEOSでんき

ENEOSでんきは、ENEOSホールディングス系列のENEOS Power株式会社が運営するサービスです。全国対応で、ENEOSカードを使った支払いでガソリン代割引などの特典が受けられます。

ENEOSカードで支払うことで、ガソリン代割引やVポイントが貯まるなど、車をよく使う方に特に恩恵のあるサービスです。

新電力会社と大手電力会社どっちがいい?

「結局、新電力と大手のどちらが自分に合っているのか?」という疑問にお答えします。どちらが優れているという話ではなく、ライフスタイルによって最適な選択が異なります。

新電力がおすすめな人

以下のような方には、新電力への切り替えでメリットを感じやすいでしょう。

【新電力に向いている人の特徴】

  • 家族の人数が多く、電気使用量が多い(月200kWh以上が目安)
  • 楽天・au・ENEOS・大阪ガスなど、特定企業のサービスをよく使っている
  • ガスもあわせてセット割で固定費をまとめて節約したい
  • ポイントを積極的に活用して実質的な節約をしたい
  • 電気使用時間帯のコントロールができ、市場連動型プランに興味がある

大手電力会社がおすすめな人

一方、以下のような状況の方は大手電力会社の継続利用が安心です。

【大手電力会社が向いている人の特徴】

  • 電気使用量が少なく(月100kWh以下)、節約効果が出にくい
  • 料金の安定を最優先にしたい
  • 電力会社の選択・比較に時間をかけたくない
  • 住んでいる地域で利用できる新電力が少ない
  • 賃貸で高圧一括受電契約のため変更できない

やばい・危ない新電力に関するよくある質問

新電力はやめとけって本当?

「新電力はやめとけ」という声は、一部の悪質業者や市場連動型プランのリスクに起因するものです。大手グループ会社が運営する新電力を選べば、倒産リスクや突然の高額請求の心配はほとんどありません。

重要なのは「どの新電力を選ぶか」であり、本記事で紹介した選び方のポイントを参考に、自分のライフスタイルに合った事業者を選べば、電気料金の節約とサービスの充実の両方を実現できます。

倒産するとすぐに停電する?

新電力が倒産・撤退しても、すぐに停電になることはありません。電気供給を停止する場合、事業者は事前に契約者へ通知する義務があります。

万が一突然倒産した場合でも、その地域の大手電力会社(旧一般電気事業者)が電気の供給を一時的に引き継ぐ仕組みが整っており、この際は「従量電灯B」などの規制料金プランに移行します。その後、自分で別の電力会社を選び直す流れが一般的です。

電気の質は悪い?

新電力に切り替えても、供給される電気の品質はまったく変わりません。電気を各家庭に届ける送電線は、どの電力会社を選んでも同じ地域の送配電事業者が管理しているからです。

新電力は自社の送電線を持たず、大手電力の送電網を利用料(託送料金)を支払って借りています。電気は送電線を通る間に混じり合うため、「どの会社の電気か」によって品質が変わることはありません。停電のリスクも新電力だからといって高まることはありません。

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この記事の監修担当
SFP

新エネルギーメディア事業部 編集班
小売電気事業・都市ガス小売事業・太陽光発電事業・家庭向け蓄電池販促事業などの広報を担当
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